第15号 「長野県立病院条例の一部を改正する条例案」に対する修正案につきまして提案説明をさせていただきます。
今、全国で医師不足が大きな問題になっていますが、特に産婦人科の先生方は24時間365日いつ呼び出されるかわからず、緊張の連続のなかで、休む暇もないまま過酷な労働を強いられています。そのうえ、何かあれば訴訟の対象となるなど、厳しさに直面しつつ新しい命の誕生に真剣に向き合いながら献身的な医療活動を続けられています。その先生方や関係スタッフの皆さんに、ご苦労に応じた手当をもっと増やしていくことは当然のことで、そのことを否定するものではありません。
わたしたち日本共産党県議団はかねてからリスクの高い産科医療の診療報酬はもっと引き上げるべきと提案してきています。国もようやく危機感を感じ、重要性を認識して、来年度予算では1分べんにつき1万円を補助することがほぼ確定的と伺っていますが、不十分とはいえ歓迎します。そうなれば二重取りになりかねません。
今回の改正は19年度に5000円の値上げをしたばかりなのに、いっきに正常産で11万5000円から18万円にと6万5000円も値上げし、全体として5割から8割を超える急激な値上げで、全国の都道府県立病院で一番高いものになり、県内の公立病院でも最も高額な分娩料となります。しかも、医療スタッフの労働環境の改善にかかる費用などを受益者負担の名のもとに、この値上げによって賄うというひどい内容です。たとえばドクターヘリの配置や救急医療体制の整備、リハビリに必要なスタッフの増員費用を急性期の患者やリハビリ患者のみの負担にするという発想が果たして他にあるでしょうか。
少子化が叫ばれているおり、本来なら「子供を産んでくれて本当にありがとう」とみんなで祝うのが筋であって、出産する本人にすべてを負担させるどころか支えあうべきものではないでしょうか。長野県の「中期総合計画」でも7つの挑戦プロジェクトのひとつに「出産、子育てにやさしい県への取り組み」が掲げられており、主要施策の中には「安心して子供を産み育てられる環境づくり」が盛り込まれ、「子育て家庭への経済的支援」も謳われています。今回の急激な値上げは県行政の背骨でもあるこの計画にも逆行するものです。産科スタッフの医療環境の改善には大本のところで国が対応するべきであって、国に改善を求めると共に、いっそうの出産育児一時金の引き上げが必要であり、独自施策を実施する場合にはお産する本人に費用負担させるのではなく、県として負担していくべきと考えます。
当面、浅川ダムなど住民合意もなく、緊急性もない事業や、今議会に請負契約としてかけられている羽場大瀬木線など不要不急の事業を見直せば財源は作ることができます。
いま若い夫婦は不安定で低賃金のなか本当に大変な生活をして不安を抱えながらがんばっています。お産には分娩費用だけでなく入院費など最低でも40万円以上のお金がかかり、身ごもった時からお金の心配がはじまります。そればかりではありません。新生児のおむつやミルク、産着など出費はかさむばかりで、この費用をどうやって工面するか大変な思いをしています。連合の調査では検診と出産費用が負担と答えている妊婦は85.9%にも及んでいます。
「子供はたいせつな長野県の宝物」です。若いご夫婦を応援し、子育てにやさしい長野県にするために今回の拙速で急激な値上げをぜひ回避し、現行通りとしたいと考え、修正案を提案するものです。
以下、提案の中身についてご説明いたします。
本則のなかで、値上げに相当するカギかっこの部分「11万5000円を18万円に、から12万円を21万7000円に改め、同項」までを全文削除するものです。さらに付則として新たに産科医療保障制度が新設されるため、施行期日を平成21年1月1日からとするものです。
以上、全議員の皆さんのご理解、ご賛同をお願いし提案とさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。